Sleep No Moreに関する徒然なる殴り書き
Sleep No Moreとは
Sleep no moreはニューヨークのMcKittrick Hotelでやっている体験型の演劇です。詳しくはググった方がいい。
公式のHPに載っている動画を張っておきます。雰囲気はほんとにこんな感じ。音楽もこんな感じ。このようにホテル内のあらゆる箇所で演技し踊る役者たちを、とにかく追いかけまわす演劇です(語弊がある)。
個人的なきっかけはNPHがツイートしていたのを見かけたこと。ちょっと調べてみると、観客はホテル内を自由に動き回りながら、役者やストーリーを追う。仮面を着け、ショーのあいだは喋ってはだめ。なんてミステリアスなショー!と俄然興味を持った。
※こんなのをつけて歩き回る
これまでこのショーに行ったのは2度。はじめて足を運んだのは2016年2月のこと。1度行って、これは1度では済まされないな、とドツボにはまってしまい、年末のNY遠征に合わせチケットを取ったのが2回目。
チケットは①2月末日月曜19時入場・91ドル、②12月30日金曜23時入場・107ドルでした。
今回のブログでは、2回の体験で起こったこと、見たものを記しておきたいと思います。これからも通いたいなぁ、と思っているので、自分用のメモでもあります。まず、検索で辿り着かれた方がいらっしゃったときのために、入場までの流れを書いておきます。
入場までの流れ
- チケットを購入するとき、入場の時間帯を選ぶ。早い時間の方が人が少ないので役者を近くで見れる。時間に合わせホテルの前へ。
- 扉の外のスタッフに予約のメール(私はプリントアウトしたものを持参)、年齢確認のID(パスポート等)を提示。手の甲にスタンプを押してもらい、中に入る。*1
- 右手側にクローク。窓口は2つ。混雑していると3つ開く?ここで必ず荷物を預けなければならない。$4。パスポートも含めすべてを預ける。クロークのチケットや小銭を持っておくためにポケットがある服を着た方がよい。
- 突き当たりにレセプション。ファミリーネームを要求される。伝わらないときはスペルを言ってみればうまくいく。チェックインが完了すると、トランプを渡される。
- 右側の階段を上ると、スタッフが待ち構えていて、カードに穴を開ける。 その先は真っ暗な細い通路。転びそうになる。進むとラウンジに辿り着くので、ここで暫しの時間待つ。カクテルを飲むも良し、トイレに行くも良し。自分の持っているカードの番号が呼ばれるまで待つ。
- 番号が呼ばれたら部屋の隅にあるカーテンの方へ進む。10人くらいを1組にして、すこしずつ中に入る。中では白いマスクを渡される。これから喋ってはいけないということ、仮面を外してはならないということなど、注意事項を言い渡され、エレベーターに乗り込む。ドアが開いたら、あとは自由行動。
以下、体験談を書いていきます。ふつうにネタバレになりますので追記します。
入場〜着いていく人決定までのこと
1度目の体験をベースに書いていきます。
19時より少し前に会場に到着。入場。レセプションでもらったトランプはハートの3。右側の階段を上ると、スタッフが待ち構えていて、カードに穴を開ける。*2
その先は真っ暗な通路。ほんとうに何も見えない。何処からか音楽が鳴り響いていて、前も後ろも右も左もわからなくなり、酔ったような気分になる。
通路を抜けると、ラグジュアリーなロビーが待ち構えている。真っ赤なドレスと口紅の美人が、タキシードの男性と何やら親しげに話している。くらくらするような美しさ、そして同時に虚構感。すでにショーの中にいるのだと思うと脈がはやくなる。女性は私に微笑んで、奥に進むよう促す。ひとつひとつの所作が演技がかっている。美しい。
ベロアのカーテンの向こうには、バースペースが広がっていた。この場所でしばし待つことになる。人の姿はまだまばらだ。壁際の、なるべく端のところに陣取る。 暫くすると、静かだったバースペースに人が増えてきた。
ひとりの男性が中央のステージに立つ。 ゆったりとした、これまた何かを誘うような声で、トランプの数字を順に数える。自分の番号が来たら、移動するらしい。ハートの3。部屋の隅のカーテンの中に進む。*3
7、8人入ったらいっぱいくらいの狭いスペース。案内役の男性がひとり。ここで、例の白い仮面を渡される。この先は喋ってはならないこと、仮面を外してはならないことを念押しされる。狭くて暗いエレベーターに通され、観客はひしめき合いながら、それでも静かに、乗りこむ。 エレベーターのドアが開き、1人が外に出る。続いて私も、と思ったら、案内役の男性に阻止される。不思議に思い、出ようとするも、首を振られる。外に出た観客が自分が一人きりだということに気がつかないうちに、エレベーターの扉は閉まってしまった。
ふたたびエレベーターのドアが開くと、こんどは残った観客すべてが外に出る。 あとはもう、自由に動き回ることができる。
照明も非常に暗く、一人きりで、自分がどこを歩いているのかもわからないまま、突然、森のようなセットに迷い込む。確か役者が歩き回っていると聞いたのだが、まったく出会えない。その上、森から出られない。正味5分ほどだったのかもしれないが、ひどく長い時間に思えた。
荊の迷路からようやく抜け出ると、ガラス張りのバスルーム。観客が僅かに集まっていて、仮面をつけていない女性がいる。あれが役者だ!
ここで彼女がどんなふうに振舞っていたか、もう今となっては思い出すことができない。どのくらい見ていただろうか。徐々に観客が集まる中、彼女は棚をのぼり、その間の小さな隠し扉から逃げるように消えてしまった。
彼女はどこに行ってしまったのだろう?あのダストシューター然の扉はどこに繋がっているのだろう?集まっていた観客はちりぢりになり、またホテルの中をさまよい始める。以前読んだネットの記事では、キャラクターを追いかけるとよいと書かれていたのを思い出し、次に追いかけたい役者を探しながら、ホテル内を歩き回ることにする。
本物のお茶が入った温かいティーポット、角砂糖、テーブルにつく役者の真正面に座ってみる観客、ホテルのレセプション、何かを気にしながらトランクを持って歩いてゆく女性、その後をついていく女性、その後をついていく観客。散らばる手紙、封筒、無数に刺さった細い釘、無機質なベッド、いくつ階段を上ったか下ったか、大きな広間に出ると、皆がステージに注目している。どうやらここに一度観客が集められる仕組みらしい。
ステージの下にも観客、バルコニーにも観客、ボックス席にも観客、バルコニーでナースの役者と手を繋いだままの観客。長いテーブルに登場人物たちが腰掛け、食事を摂る。スローモーションで。照明が点滅を繰り返し、ふと明るくなると役者はまたちりぢりに移動する。観客も彼等についてゆく。
またも階段を上り下り、セットの中を楽しみながら役者を探す。なかなか巡り会えない。ふと、キャンディーショップのある街につく。ここのキャンディーはすべてほんもの。すでに何人かの観客が瓶からキャンディーを取り出して、モグモグやっているわ私も1つ頂戴し、食べてみる。なんだか可笑しくてついニヤニヤしてしまうが、仮面をしてるのでセーフ。 キャンディーストアの角を曲がると、両側に店を構える商店街に出る。剥製店、仕立屋、葬儀屋。そして酒場。ここはGallow Greenという街らしい。
テイラーから男性が出て来た。彼がFultonという名前ということを、のちのち知ることになる。ファーストインプレッションで、彼について行くことに決めた。
Fultonについていく
Fultonの行動範囲は、おもにこのGallow Green。自分の店、向かいの剥製店、裏の酒場。時々へカテのいるバー、墓場と、葬儀屋。
Fultonを追うということは、わりと忍耐力がいる仕事だった。見失う事は少ないのだが、自分の仕立て屋にいる間はひたすらズボンを仕立てている。何かをひたすら縫っている。周りにいた観客も段々離れていってしまう。棚のミシン糸を触ってみたり、引き出しの中の辞書を切り刻んだり。楽しいものでは決してない。
移動はダッシュなことも多く、全速力で階段を下るのについていくのは大変だった。ヘカテのバーでは基本的に後ろの方から見ているだけである。誰かが通り過ぎるのを隠れながら待つということもしばしば。
Fultonの行動で特筆するものがあるとすれば、それは剥製店のMr Bargarranとの関係というべきか因縁というべきか。はっきりいってよくはわからない。この2人はいくつものシーンで一緒になることも多く、のちに私はこのBargarranを追うことになる。
ふと何か思い立ったと思うと、剥製店へ。黒い小さな鳥の剥製を拝借し、隠すように自分の店へと持ち帰る。 儀式のようにしてテーブルに砂を撒いて十字架をつくり、その真ん中に鳥を置く。慈しむかのようにしてそれを黒い布に包むと、墓場へと向かう。墓場でFultonは大きなコウモリ傘を差して移動する。とあるポイントにたどり着くとそこに鳥を埋め、土をかけ、スコップを立てる。そして街に戻ってゆく。
その他、タイミングは忘れてしまったが、Fultonについての覚書をいくつか残しておくとすると、絡みのあるキャラクターは私の分かる限り、Mr.Bargarran、speakeasy bartenderとその周辺、あと女性のキャラクターがいた。その辺りがメイン。
ダンスは、私が見たのはテイラーの中での布を使ったものと、Mr.Bargarranとガロウグリーンにて路上バトル。本当に暴力的な力強いダンス。路上バトルダンスでは驚くべきことが起こる。すごい肉体である。
それから、開演したあとに知ったことなのだけれど、このショーでは時折、見えない筈の観客がひとり役者に選ばれ、閉ざされた空間で二人きりで過ごすことがある。one on ones、1:1、一対一。
さてFultonの1:1だが、Gallow Greenのとある店で行われるようである。彼自身の店ではないとだけ言っておく。突然観客の1人が引き込まれ、扉と窓が閉ざされた。続いて入ろうとした観客がいたが、拒まれた。タイミング、選ばれるポイントはわからない。へえ、こんなことがあるんだ、と暢気に思っていたが、なかなか出てくる気配もなく、彼を見失う。
どうしようか。ひとまずGallow Greenを歩き回ると、向かいの剥製店のMr.Bargarranが目に入る。Fultonとも何度か絡みがあり、暫くFultonを追いかけていたため、この人を追いかけるのも面白いかもしれない。彼を追いかけることにする。
Bargarranを追いかける
Bargarran(ファンのあいだではTaxiとも呼ばれる)はGallow Greenの剥製店の剥製師である。店にいる間は、基本的に黒いエプロンをつけている。また、鳥に特別の興味があるのか、剥製店のケースには鳥がほとんどである。鳥の骨を慈しみ、剥製の入ったガラスケースを愛おしげに拭く。
パンフレットを見たが、演じた役者は忘れてしまった。初めてSNMを見たときは坊主頭でキツイ顔つき、2度目に行ったときは1度目の役者より少し若い印象、マイルドなお兄さんだった。
行動範囲はFultonと似たり寄ったりで、自分のオフィス(剥製店)にいる時間が長い。あとは仕立屋。Fultonの埋めた鳥を探しに墓地、酒場。あとはあんまり覚えてない。時々テイラーの中を外から覗いている。あまり走り回ったりはしなかったような。見失ってもGallow Greenで待っていれば会える。
関わりのある人物としては、やはりFultonが多い気がする。
彼の行動の中で、観客が巻き込まれる例で言うと手術道具の並べ順。剥製店のカウンターの中にいるBargarranが、悩ましげに道具を並べているのだが、観客にアイコンタクトでこれを並べ替えろ、と訴える。どういう意図なのかは不明。何が正解かも不明。
さて、暫くBargarranについていたのだが、とあるポイントで1:1を体験した。場所は、彼の店であるとだけ言っておくことにする。彼の店で突如目が合い、手を差し伸べられ、こちらが差し出すと、ほかの観客をよそに、別室へと連れられる。そこからは完全に役者とふたりきりになる。時間の感覚を失うので正確なことはわからないが、おそらく10分にも満たないくらいの時間、密室でほんとうにふたりきりになる。
私は2回観に行ったうち、2回ともBargarranの1:1を体験した。SNMには上演時間の中で3度ループがあると言われているが、1度目に言ったときはその3ループ目、2度目に行ったときはその2ループ目での1:1だった。別室で体験したことは2回とも変わらなかったのだが、結末は少し変わっていた。
1:1が終わると、ほかの観客もいる空間に戻されるのだが、1度目と2度目ではそれが少し異なっていた。
選ばれるタイミングはわからない。1度目はずっと着いていっていたけど、2度目のときはそのちょうど1分前くらいにその現場に行ってみたら、突然に選ばれた。人によって選ぶのか、タイミングか、場所取りかはその役者によるのだとおもう。
詳しいことは私ももの凄く話したくて話したくて話したくてたまらないのだけれど、このような一応は誰でも読むことができる場に書くのがふさわしいかどうかはわからないので、ご希望があれば喜んでペラペラ喋ります。
以上が私の知っている範囲である。最初からBargarranを追ったことがないので、見逃しているシーンが多々あると思う。
ほかにあったシーンと言えば、店のライトの下にトランプを仕舞う、赤い糸がライトの傘のしたにおいてありそれを見る、手術道具の並び替え、テイラーを覗く、喧嘩ダンス、ショーケースを拭く、墓地にFultonが埋めた鳥を探しに行く、あと何かあったかな。覚えてるのはそのくらい。
エンディング
1度目の体験のときは、1:1のあと、少しして大広間へと移動したところ、エンディングが始まっていた。2度目のときも、体調を崩していて体力的に限界であったこともあり、大広間でしばらく腰掛けていたら、エンディングが始まってしまった。
一度大広間に観客が集まったのと同じようにして、観客が集まり、役者が長テーブルの席に着く。スローモーションで宴は始まり、笑い、酒を飲み、チカチカとする照明の中、二人の男を除いて役者はみな徐々に消えていく。
一人の男は、テーブルの上にイスを置き、ゆっくりとその上に上る。天井から垂れ下がったロープに首を嵌める。そして、イスを蹴り、照明が一瞬消え、ふたたび明るくなったかと思うと、観客の目の前にはロープに首を締め上げられ、ぶらぶらと力なく揺れている男が現われるのだった。
暗転。
明転後、自殺した男の姿はなくなっている。どこからともなく消えていた筈の役者たちが現われて、それぞれ誰か一人ずつ観客をエスコートしながら、最初のラウンジに戻る。これが、大広間で迎えた場合のこのショーのエンディング。
今後のこと
1、2度目の参加では、2回ともエンディングを大広間で迎えた。またGallow Greenのメンバーを追うことが中心で、本筋のマクベス周辺やレベッカ系統(ダンバースなど)を追うことはできなかった…。反省点…。でも今度はホテルキャラも追ってみたい。うーん!
行けば行くほど全部を知り尽くしたくなるこのショーに、今後も機会があれば是非足を運びたい。その時のため、未来の私のため、今後やってみたいこと、会いたいキャラクター、謎なシーンなどをメモして、この記事を終わることにしたいとおもいます。
また次行けたら殴り書くと思う。
—――
今後やってみたいこと、確認したいこと
- Bargarranの1:1でいつもと違う方を選ぶ
- 2巡目と3巡目での結末の違い。
- トランプを取っておくと?墓を掘り起こしておくと?
- Baggaran3巡目1:1のあと、最後までついていく
- Fultonの1:1!!!!!!!!!!→達成しました
- ヘカテのバーに最後までいてヘカテのキッスを受ける(仮面に)。タイミング。
- Porterの1:1。→達成しました
- ラストシーン後、いずれかのキャストと一緒にラウンジに戻って来る。→達成しました
- 6階。ラストシーンをBall room以外で迎える。
誰なのかよくわからないキャラクター
- 狭い部屋での照明アクションのふたり。
- 階段の踊り場ですれ違ったやたらとセクシーなヨレヨレの男性キャラクター。→判明しました
会いたいキャラクター
- ナース
- ポーター
次ちょっとよく確認したい部屋
- 黒い羽根がいっぱい生えてるところ
- 細い釘が無数に打ち込んである壁
- 天蓋付きベッドの部屋(教会?)
- 剥製店の裏にあるコレクション部屋みたいなところ
- 暗室
断片的に覚えてるシーン、よくわからなかったので続きが見たいシーン(思い出したら追記)
- レディマクベスの風呂。
- スピークイージーでの賭け事。サイコロ。
- スピークイージーのビリヤード台ダンス。→キャラわかりました
- ガロウグリーンで追い詰める。
- ガロウグリーンで行き交う男女
- ボールルームのフロアーでのダンス。
- ヘカテのバーの乱痴気。→すべて見ました
- 確か葬儀屋の奥の狭い部屋での照明アクション。つり照明を投げつけては避けみたいなやつ。
- 葬儀屋の奥の部屋で砂撒く儀式ダンス。
- ボールルームでの首吊り。
- 少し広めの階段を6人くらいでひとりの男性キャラを持ち上げて下ってくるところ(二度見た)。→キャラわかりました
- 手紙を書く男性。たしか暗室。